月別アーカイブ: 2026年9月

割烹松屋の想い 昼2組 夜2組の営業です。

 

松屋の想い

◎~「大切な人を連れてきたくなる店」であり続けるために~

 いつも割烹松屋をご愛顧いただき、心より御礼申し上げます。
昭和三十九年の創業以来、泉佐野の地で皆様に支えられ、松屋は今年で六十二年目を迎えることができました。

私たちが今日まで厨房に立ち続けてこられたのは、他でもありません。
松屋を「大切な人を連れてきたくなる店」として選び、
大切なご家族の節目を私たちに託してくださる、
お客様の温かいお気持ちがあったからです。

◎96歳のお客様が教えてくれた「食い力(ぐいぢから)」

当店には、八十代、九十代のご高齢のお客様もたくさん足を運んでくださいます。
先松屋日、大変嬉しい出来事がありました。
九十六歳を迎えられたお客様がご来店になり、
ワインを二杯愉しまれながら、
大将の仕込んだわたりがにコースの全料理を、
見事にすべて完食してくださったのです。

目の前で生き生きとお食事を愉しまれるその美しいお姿を
拝見したとき、私たちは胸が熱くなると同時に、
深い確信を得ました。

◎「長生きの秘訣は、食べる元気。すなわち『食い力』なのだ」と。

人間の生命力は、美味しいものを心から愉しんで
食べることで湧き出てくる。
その大切な営みの場所として松屋を
選んでいただけること、料理人としてこれ
以上の誉れはありません。
◎横須賀から、名古屋から全国から。海を越え、距離を越えて届く笑顔

松屋の「わたりがに」を求めて、
お客様は本当に様々な場所からお越しになります。
先日は、神奈川県の横須賀から
「松屋のわたりがにを食べることを、
日々の目標にして歩んできた」と、
はるばる新幹線を乗り継いできてくださった
お客様がいらっしゃいました。
またある日は、名古屋からご高齢のご両親の手を引いて、
「親に本物を食べさせたくて」と車を
走らせてくださったご家族も。

お客様は皆様、口々にこうおっしゃいます。
「わたりがにが食べたくてね。子供の時は
この辺りじゃおやつ代わりに食べた、
あの懐かしい味がどうしても忘れられなくて」

そのお言葉をいただくたび、女将と二人、目頭が熱くなります。
お客様が心のなかに大切に仕舞われていた
幼き日の記憶、故郷の味。
その思い出の答え合わせをする場所が、
今の松屋なのだと知るからです。
皆様の「美味しかった、また来るね」と
いう笑顔こそが、私たち夫婦にとって
何よりの生き甲斐であり、
明日を生きるモチベーションそのものなのです。

 

◎苦悩と葛藤、そして「私にしかできない」という誇り

 しかし、正直にお伝えしなければならないこともあります。
近年、大将の心のなかには
「もうそろそろ、お店もいいかな……」と
いう思いが、ふと過る瞬間もありました。

なぜなら、「わたりがに」という生き物は、
皆様が想像される以上に脆く、繊細で、
扱いが狂うほどに難しい蟹だからです。
毎朝水槽の前に立ち、一杯一杯の状態を見極め、
時には「今日は使わない」と
苦渋の決断を下す日もあります。

水槽の管理から命の選別、
そして寸分の狂いも許されない仕込みに至るまで、
その裏側にある苦労は壮絶で、
時に心が折れそうになることもありました。
効率だけを求めるなら、とうに諦めていたかもしれません。

それでも、私たちが立ち止まらない理由があります。

「一切のだましなしのわたりがに料理は、日本で私しかできない」

この強固な誇りと覚悟があるからです。
素材を誤魔化さず、わたりがにが持つ
「一番美味しい瞬間」を極限まで引き出す技。
それは、半世紀以上この蟹だけを見つめ、
命と対話してきた大将にしか到達できない領域です。
この味を待ってくださる方がいる限り、
少しでも皆様の人生の喜びのお役に立ちたい。
その一心で、私たちはもう一度前を向きました。

 

◎この秋より、「昼二組・夜二組」という贅沢な選択へ

お客様の「食い力」に、私のすべての命を懸けて応えたい。
その理想の形を突き詰めた結果、割烹松屋は、
この秋より大きな決断をいたしました。

これからは、【昼二組、夜二組】のみ。
一日、わずか四組のお客様だけを
お迎えする営業スタイルへと変わります。

たくさんのお客様をお迎えすることはできなくなります。
しかし、お席を限らせていただくからこそ、
仕込みからお料理の仕上げ、
そしておもてなしの細部に至るまで、
料理人の目と手を限界まで
行き届かせることができます。

松屋が誇る「一切だましなしのガストロノミー(美食)」を、
最も濃密な空間でお届けするための、
前向きな変化でございます。

※なお、十五名様までの団体様につきましては、
これまで通り貸切等のご相談をお電話にて承ります。
ご家族の特別な集まりの際には、
どうぞ遠慮なくお申し付けください。

一度きりの人生、
大切なあの人を連れていきたい場所として。
新しく生まれ変わる割烹松屋で、
皆様の五感を満たす最高の一皿をご用意し、
夫婦ともども心よりお待ち申し上げております。

割烹松屋 大将・女将

 

10月11月 わたりがに三昧コース お知らせ

「今年も、蟹祭りの季節になりました」
先日、泉州に残る「祭りとわたりがに」の
お話をさせていただきました。
昔は祭りになると、家族や親戚が集まり、
食卓の真ん中に大きなわたりがにがありました。
最近は蟹そのものが少なくなり、
そんな光景も少なくなりました。
だからこそ今年は、松屋で「蟹祭り」を
楽しんでいただきたいと思っています。
そして10月、11月になると、
いよいよ一年で私が最も楽しみにしている
「幻のオスガニ」の季節です。

身が張り、甘みが増し、味噌まで旨い。
この時期のオスガニは、
62年間わたりがにを扱ってきた私でも
「これは食べてほしい」と思う味です。

◎ 特別限定コースのお知らせ
10月・11月は、このオスガニを主役にした
「わたりがに三昧コース」をご用意します。
旬の八寸 わたりがに造り ほぐし身サラダ
伝統の宝楽焼 わたりがにと天然クエの酒蒸し
かに飯 フルーツ  27500円
ささやかですが、かに飯のお土産も
皆様についております。

大切な方と
今年の秋はぜひ、大切な方と松屋の蟹祭りへ。

割烹松屋
濱田憲司

横須賀から日帰り旅行。母と娘の絆

横須賀からの日帰り旅。15年ぶりの暖簾をくぐって

先日、胸がいっぱいになる、料理人冥利に尽きる出来事がございました。

遠く神奈川県・横須賀より、実に15年ぶりにお客様がお見えになられたのです。 かつては年に3度ほど、決まってお顔を見せてくださっていたご夫婦。しかし、ご主人が体調を崩され車椅子での生活となられてからは、大阪への長旅は難しく、足が遠のいてしまっておりました。

そして昨年、そのご主人が静かに旅立たれたとお聞きしました。

今回ご来店くださったのは、その奥様とお嬢様のお二人です。 「父が大好きだった、あの松屋の味をもう一度、母と一緒に食べに行こう」 お嬢様がそう背中を押し、朝早く羽田空港を発ち、関空を経由して、ただ割烹松屋のわたりがにを食べるためだけにはるばる泉佐野までお越しくださったのです。15時前の飛行機でとんぼ返りという、まさに弾丸の日帰り旅でした。

お母様は、ふわりと柔らかな笑顔でこう仰ってくださいました。

「朝早く起きて飛行機に乗ってきた甲斐がありました。本当に美味しくて、贅沢な時間を過ごせています。少し強行軍の予定でしたけれど、娘が『行こう』と誘ってくれた時から、ずっと心がウキウキしていたんですよ」

懐かしい思い出話に花を咲かせながら、お料理を一口一口、慈しむように召し上がってくださるお二人の姿。 ご主人が遺してくださったご縁が、こうして母と娘の温かな時間へと繋がり、その真ん中に私どもの料理を置いていただけている。料理人を続けてきて、これほど幸せで誇らしい瞬間はありません。胸の奥から込み上げる熱いものを抑えられませんでした。

お帰りの際、お母様は晴れやかなお顔で 「本当にご馳走様でした。今度はまた近いうちに、すぐに来ますね」 と、力強く手を振ってくださいました。

旅の途中で思い出す味ではなく、旅の「目的」として選んでいただける店であること。 そして、大切な思い出を胸に訪れてくださるお客様の心に、温もりと活力を届けられる店であり続けること。

横須賀の空へ飛び立たれたお二人の笑顔を心に刻み、今日も感謝を込めて、一所懸命に暖簾を掲げます。

割烹松屋 濱田

大切な方と食事をする。わたりがにのオスが旬です。

 

わたりがにのオスが、いよいよ旬を迎えています。

夏から秋にかけて身が充実してくるオスのわたりがに。
泉州では昔から、この時期を楽しみにしてきた食文化があります。

特に「岸和田だんじり祭」では、
わたりがにをご馳走として家族や親戚にふるまう風習があり、
別名「蟹祭り」と呼ばれるほど、
祭りとわたりがには深いつながりがあります。

ところが近年、泉州のわたりがには希少になり、
価格も高騰しました。

昔のように気軽に食卓へ並ぶものではなくなりつつあります。

それでも私たちは、食べることこそが、
この土地の風習や食文化を次の世代へ残すことに
つながると考えています。

泉佐野市の割烹松屋は、
創業62年、日本唯一のわたりがに専門店として、
この味を守り続けてきました。

今だからこそ味わっていただきたい、
旬のオスのわたりがに。
関西空港から車で約15分、
南海泉佐野駅から車で約5分です。

旬の味と泉州の食文化を、
ぜひ割烹松屋でお楽しみください。

割烹松屋 072^462-3740

祝「岸和田だんじり祭」9月限定「蟹祭りコース」

 

昔、泉州では祭りの日になると、
家族や親戚が集まり、わたりがにを囲みました。

私も長くこの仕事をしていますが、
あの風景を残したいなぁと、最近ますます思います。

今年の9月は、松屋でも「蟹祭り」。
9月限定「蟹祭りコース」
八寸 かに造り ほぐし身サラダ
宝楽焼 かに飯 フルーツ
おひとり様・・・27500円

必ず予約をお願いします。
派手なイベントではありません。

その日に良いわたりがにを仕入れ、
一番いい状態を見ながら、
いつもの松屋の料理をきちんと作ります。

「昔は祭りに蟹を食べたなぁ」

そんな方はもちろん、

その文化を知らない息子さん、娘さん、お孫さんにも、
一度食べさせてあげてください。

昼は2組、夜も2組ほど。

一組一組、ゆっくりご用意したいと思っています。

ご予約・お問い合わせは、お電話でも予約サイトからでも結構です。

今年の蟹祭りも、松屋でお待ちしております。

割烹松屋
濱田憲司