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【人生のカウントダウン】65歳の店主が下した決断。大阪泉佐野市かに

日本唯一のわたりがに専門店『割烹松屋』が挑む、
5年間の「わたりがに命懸け」宣言。

〜「だんじり=かに祭り」の魂を絶やさない。

泉佐野が世界に誇る究極のガストロノミーへ〜

大阪府泉佐野市で昭和39年から続く、
日本で唯一のわたりがに専門店『割烹松屋
の店主は、今年65歳を迎えました。

自身の料理人人生の終着点を70歳に見据え、
残された「5年」という時間をすべて
わたりがにの食文化継承に捧げる覚悟を表明いたします。

■ 65歳。あと5年、わたりがにと心中する。

わたりがには、その扱いの難しさから

「プロ泣かせ」と言われる食材です。
店主はこの道一筋に歩んできましたが、
65歳になった今、改めてこの食材の
深淵にのめり込む決意をしました。
「元気であればその先も続けたい。

しかし、まずはこの5年。
悔いを残さぬよう、
わたりがにと心中するつもりで包丁を握る」
このカウントダウンは、店主自らへの鼓舞であり、
お客様への「今、最高の状態を食べてほしい」と
いう約束でもあります。

■ 泉佐野の記憶「かに祭り」をガストロノミーへ昇華
かつて泉州の人々にとって、
だんじり祭りのご馳走といえば
「わたりがに」であり、まちはカニの香りに包まれていました。
今や高級品となったわたりがにを、
単なる「贅沢品」で終わらせるのではなく、
地域の歴史や誇りを感じさせる
「ローカル・ガストロノミー(地域美食学)」として、
世界中の美食家へ届けます。
■ 5か年計画:専門店としての「最後の聖域」
今後5年間、割烹松屋では以下の「極み」を追求します。
  • 技術の結晶: 65年培った目利きと、わたりがにの「内子・身・爪」それぞれの旨味を極限まで引き出す独自の調理法をさらに研ぎ澄ませます。 
  • 文化の伝承: 希少となった泉州わたりがにの価値を
    正しく伝え、地産地消を超えた
    「この1皿のために泉佐野を訪れる価値」を創出します。
■ 店主からのメッセージ
「昭和39年からわたりがに一本。
父から受け継いだ割烹松屋
思えば、私の人生はカニと共に試行錯誤でありました。
時代に合わせながら、価値感と覚悟の一喜一憂でした。
若い時はわたりがにの手間と管理が嫌で
やめたくてやめたくて。
父の死去から目覚めたわたりがに愛。
突き詰めて気が付けば65歳。
これから残された時間を意識したとき、
やはり私はこの泉佐野の先人の
『わたりがにのそれぞれの思い出』を継承し
この文化を、最高の形で残したいと強く思いました。
この5年、私の生きざまを皿の上に表現します。
ぜひ、今の私の情熱を味わいに来てください。」割烹松屋  濱田憲司

割烹松屋は、泉佐野の海と食文化を、わたりがにを通して表現する料理店です。

割烹松屋は、泉佐野の海と食文化を、わたりがにを通して表現する料理店です。『泉佐野わたりがにガストロノミー』

割烹松屋のガストロノミーについて
― 泉佐野という土地と、わたりがにを極めるということ ―

私たち割烹松屋が向き合っているのは、
新しさのための料理でも、流行のための技法でもありません。

向き合っているのは、
泉佐野という土地が育んできた食文化、
そしてその中で、長い時間をかけて受け継がれてきた
わたりがにという存在です。

■ 松屋の原点は「泉佐野」にある

泉佐野は、海と共に生きてきた町です。
大阪湾に面し、漁と暮らしが直結していたこの土地では、
魚や蟹は「特別なごちそう」である以前に、
日常の中にある命でした。

その中で、わたりがには
保存が難しく、扱いが繊細で、
決して効率の良い食材ではありませんでした。

それでも、この土地では
「一番うまい瞬間を逃さず食べる」ために、
人の手と感覚で向き合い続けてきました。

松屋は、その延長線上にあります。

■ なぜ、わたりがになのか

わたりがには、
料理人にとって非常に不親切な食材です。

・個体差が激しい
・水揚げ後の変化が早い
・火を入れすぎれば一瞬で崩れる
・火が足りなければ旨味が出ない

「誰がやっても同じ味」には、決してなりません。

だからこそ私たちは、
この食材から逃げず、
何十年も失敗と試行錯誤を重ねてきました。

■ 火入れとは、温度ではなく「対話」である

松屋における火入れは、
レシピや数値で完結するものではありません。

蟹の状態、身の張り、水分、香り、
その日の気温、湿度、
鍋の中の音や泡の立ち方――

それらをすべて受け取り、
火を当てるのではなく、火と対話する。

一杯のわたりがにに対して、
「今日は、ここまでだな」と判断する。

それは技術というより、
長い時間をかけて身体に刻まれた感覚です。

■ ガストロノミーとは、思想である

私たちが考えるガストロノミーとは、
皿の上の演出や言葉の装飾ではありません。

・なぜ、この土地で
・なぜ、この食材を
・なぜ、このやり方で
・なぜ、今も続けているのか

その問いに、
料理そのもので答え続けることだと考えています。

■ 割烹松屋が目指すもの

私たちは、
「わたりがにガストロノミー」という言葉を通して、
泉佐野の海、漁師の仕事、
全国のわたりがにの文化と歴史
食文化の積み重ねを未来に手渡したい。

わたりがには、
松屋にとって目的ではなく、象徴です。

その一杯に、
この土地の時間と、人の知恵と、
料理人の覚悟を込めること。

それが、大阪のかに
割烹松屋の泉佐野ガストロノミーです。

割烹松屋    濱田憲司