泉州の秋は、だんじり祭りの太鼓の響きとともに始まります。
岸和田を皮切りに泉佐野や周辺の町が熱気に包まれるこの時期
実は「カニ祭り」とも呼ばれてきたことをご存知でしょうか
理由は、だんじりの季節とワタリガニの旬がぴたりと重なるからです。
昔から泉州の家庭では、
祭りのあとの食卓に赤々と茹で
上がったワタリガニが並びました。
雄ガニは身がぎっしり詰まり、甘みも濃く、
まさに秋のハレの日にふさわしいごちそう。
祭りで汗を流した男衆も、支えた家族も、
カニを囲みながら一緒に盃を交わし、
その年の出来事を語り合ったのです。
この習わしは単なる味覚の記憶ではありません。
だんじりとワタリガニは「地域の絆」を象徴するもの。
鐘と太鼓の音を聞けば「もうカニの季節やな」と感じる
それは泉州人のDNAに刻まれた暮らしのリズムです。
割烹松屋でも、この季節にしか味わえない雄ガニを
丁寧に仕立て、旬の献立としてお届けしています。
だんじりの熱気と共に味わうワタリガニは、
きっと皆さまの心と記憶に残るはずです。