<8月にお越しいただいたお客様との出会い>
8月に入り、お盆に差し掛かりましたが、みなさん今年は帰省も控え気味のようで、
ご自宅でご家族と共に松屋の料理を召し上がっていただくケースが多く、
お持ち帰りの注文が私の予想を遥かに超えまして、
一時的にたくさん仕入れていたかにが足らなくなる事態に陥りました。。
魚屋さんのおかげでなんとか持ち堪えました。ありがとうございます(泣)また、お持ち帰りのお客様以外に、店内でのお食事でもたくさんの方々が見えられました。
漁師さん、料理旅館を経営されておられる方、料理屋さん、お医者さんなど、
様々な職種にお勤めの方にオスガニを召し上がっていただきました。
みなさん期待通り、カニのうまさに唸っていただきました!
そんなお客様方から、胸が熱くなるコメントを頂きましたので、ご共有いたします。
こちらは同業の料理屋さんのご主人です。
「わたりがにの大きいサイズは希少価値が高いと聞いたが、
こんなに安定的に仕入れができている点に驚きました。
また、大将さんは、よくこんなディープな食材に目をつけましたね。
そりゃ、こんな管理が面倒臭い食材、他店では極めないはずだ。
今日は、美味しいわたりがにを食べに泉佐野へ行ってくると周りに伝えたら、羨ましがられましたよ」。
ありがたいお声です。
次は、お医者さんのお客様です。
「懇意にしている先生から、わたりがに専門店があると聞いて伺いました。
大将の日々のご苦労話を聞いて、ますますわたりがにに興味を持ちました。
こんなに美味しさ・空間に徹底しているなら、
もっと値段を上げてもいいのでは?赤字でもいいんですか?」とお声をいただきました。
みなさん、嬉しいコメントで、スタッフにも共有したところ、喜んでもらいました。
また、みなさんに最近よく言われるのが、
「泉佐野ってもっと田舎と思ってたけど、いっぱいホテルもあるし、なんなら空港もある街なんですね」
というもの。
まだまだ知られていない街なのですね。
また、中には、
「市内からも1時間で来れるので、近く感じました。日本海や伊勢に行くより近いので、
コロナの状況下でのプチ旅行にいいですね」というお客様もいらっしゃいました。
そう思うと、1時間程度かけて来てくださるお客様向けのプランも
色々考えて行かねばと考えさせられますね。
これからも本物の味をわかる方に、
わたりがにの魅力をコツコツと発信していくべく、
スタッフと共におもてなしの心を極めてまいりたいと改めて感じました。
<松屋、苦渋の決断・・・・>
8月は、私自身、新たな覚悟の決断を迫られた月でもありました。
数十年ぶりに、お店の外装の修理工事を行うことを決めたのです。
どうせするならもっと早くやっておけば良かった・・・と思うところもありますが、
流石にコロナウイルスによるこのような状況になることも予測できず、
これから先の10年のことを、5年前から真剣に考えていたからです。
このお店が建ってから40年以上の月日が経過していることもあり、
建物の外壁を補修する費用だけでも凄まじしい金額ですので、
お店を修理するくらいであれば、その資金をもっと有効に使うことはできないか?と計画を立てて、
煮詰まってきていたのです。
実は、「松屋を移転させるかどうか」を悩んでいました。
今の松屋のお店は、45年前の高度成長期に建てられた、
当時流行りの”大箱”(広い)のお店です。
一方で、現在までの間で、周りの大箱の料理屋さんはほとんど淘汰されてしまいましたし、
現状の松屋の店舗サイズは、これからの飲食店の姿ではないと思っています。
(もちろん、建てて頂いた両親には感謝しています)
これからは、わたりがにという食材の専門性を際立たせ、更に尖ったお店にしたいと思っていました。
移転場所や、どういう物件にするかも時間をかけて調査してきていました。
調査中は、大阪市内の代表的な繁華街なども見てきましたが、
なんか違うなと思ったこともありました。
実際に大阪市内の不動産屋さんにも数社相談もさせて頂き、
ある程度の考えもまとまってきた矢先に、
コロナウイルスが日本を襲いかかり、
移転どころではなくなりました。
私の知り合いや友人にも、昨年にお店を北新地や福島で創業移転されましたが、
コロナの影響を受けて、今は本当に大変な状況と聞いています。
移転は諦めるとしつつも、今の松屋の建物も、このタイミングでしっかり修繕しておかないと、
さらに劣化が進んでしまうという事もわかっていましたので、
コロナ禍の3月から試行錯誤して考えてきました。
私的には少しネガティブな考えと思いがちな節もあったりするのですが、
苦渋の決断に至り、このたび、2ヶ月かけて店舗の外装をリニューアルすることになりました。
でも今は、良く思い切れた!と思っています。
この先の10年はワタリガニにもっと特化し、お客様に喜んで頂きたいと思います。
そして、この地で料理店をする限り、このお店を新たなステージへ導いていくことを考えています。
泉佐野だからできることを徹底的に考え、
たくさんの海の幸の旬の魚、山の幸の新鮮な野菜がある「食の宝庫」としてのこの地の利点を生かし、
地元を活気付けていきたいと思います。
また、地元の食を中心に提供する真面目な飲食店や、
その事業に携わる業界の方も、もっと積極的に前へ出ていただくため、応援したいと思っています。
少し話は変わりますが、泉佐野といえば、
「泉佐野市ふるさと納税」もいろいろと世間の方には賛否両論ありましたが、
私は地元事業者として、今回の市の職員さんの熱い情熱と市を愛する想いで戦って頂いたこと、
そういう市長さん並びに職員さんのことは「誇り」に思います。
そう、私にとってはヒーローです。
こんな人たちはなかなかいないでしょう!
その結果、難産でありましたが奇跡の復帰ができました。
そういう直近の背景も踏まえて、
こんなに汗水を垂らして本気で励んでいる方々でいらっしゃるこの地で、
アイデアを出しながらもう一度頑張っていこうと決断しきれたのも、
今回のリニューアルの後押しになっています。
コロナで大変な状況には変わりませんが、気持ちは、前向きにウキウキワクワクで参ります。
また、昨年11月から、厨房を1人で従事し、
少し無謀でしたが、とことんこだわろうと思う内に、
色々と見えてきたものもありました。
今は、相方のもう1人の職人と2人体制ですが、
厨房を1人で回している時間は、本当に有意義で楽しい時間でした。
やることがより鮮明になった気がします。
しかし、色々な楽しい思いや企画も大切ですが、やはり経営の原理原則を要とした考え方で
小さい会社の戦略を全うしたいと思っています。
もはや変態の領域ですよね。
地元ではもっとそういう変態の方と繋がっていきたいと思っています。
我こそは!という方、いつでもウエルカムです。お誘いください。(笑)
まだまだコロナとの戦いが続くようですが、
少し視点を変えたお店作りこそ、突破口があるように感じています。
今回の件を機に、益々頑張ってまいりますのでこれまでと同様、
皆様の応援の程よろしくお願い致します。
まだまだ暑い日が続きますが、お気持ちだけはさわやかに、ご自愛くださいませ。
松屋 濱田憲司