今年の≪わたりがに≫は踏んだり蹴ったりですねん。


今年は”わたりがに”が踏んだりけったりですねん。

 

みなさん、いつも美味しく食べていただき、

ありがとうございます。

私、わたりがにです。

はい、この手の手紙では、初めての登場です。

今日は我々をいつも大切に扱ってくださる

松屋さんの案内状という貴重なスペースを

お借りして、

我々、わたりがにの嘆きをちょっと聞いてください。

いやいや、こんなもん今読む時間ないわ!という方、

冷蔵庫の隅にでも貼ってください。

 

さてさて、海にいる私たちでさえ、

正直、コロナウイルスの感染拡大は、

ここまで予測していませんでした。

おまけに、お米や卵と違って、

みなさんの日常生活において

毎日必要とされている食材でもない私たちは、

今、海でしっかり栄養を取って身詰まりを

よくしながら捕獲されるのを待つか、

仕入れられてお店の水槽における

三密状態をなんとか凌ぐかしか、選択肢がありません。

 

ぶっちゃけ、今食べてもらうと、

身も濃厚でして、結構うまい時なんです。

さらに、コロナだけでなく、

今年は岸和田だんじり祭りも中止に。

だんじり祭りは別名で「かに祭り」

ともいわれ、祭り関係者がいる各家では、

祭りを見に来る来客者に対して家族らが

ふるまうご馳走が、蒸した「わたりがに」でした。

でも、今年は祭りもないんです。

正直、コロナウイルスの感染拡大の前より、

私たち、行き場を失ってしまいました。

しかし、そんな中、日本で唯一の

わたりがに専門店の濱田大将と、

かにを仕入れる仲買さんが協議され、

この度、私たちを救ってくれることになりました。

「コロナに加えて、今年は祭りもないさかい、

わたりがにの消費が止まってしまうんとちがう?

ここは日本唯一のわたりがに専門店の出番として、

かに達をお客様の非日常の体験アイテムと

して蘇らせるべく、例年以上の量のかにを仕入れに

いっちゃる!コロナの影響よ、

やられたらやり返す!倍返しや!」

ちょっと後半は何を言っているか、

わからなかったけど、少し光が見えてきました。

ありがとう!濱田さん!

というわけで、大量にかにを仕入れ中の松屋では、

引き続き自宅でも美味しいかにを食べていただくため、

全国へ配送するお届けサービスも引き続き実施するとともに、

感染予防対策を徹底したお店でも上質なわたりがにと共に、

スタッフが心温まるおもてなしをさせていただきます。

度々のお願いとなりますが、

どうか今が旬のオスのわたりがにを救ってあげてください。

 

わたりがにクレイジー 濱田憲司