関西空港対岸に位置する泉佐野市に
全国でも珍しいワタリガニ専門店がある。
創業50年を超える「割烹松屋」
大阪湾産のカニを塩焼きや酒蒸し、鍋料理など
さまざまなスタイルで提供する。
「うちのかには大ぶりで甘みが強いんです。
市場には出回っていません」と2代目店主の
浜田憲司さん(56)。泉佐野沖は水深が深い格好の
漁場だ。地元の漁港から直送された大きさ約30cm、
大きさは500g以上のわたりがにを包丁で真っ二つに
切ると、甲羅の裏側に張り付いたオレンジ色の内子と
ぎっしり詰まった身が現れる。
完全予約制で、一日五組限定。夜のコースは
15000円からと決して安くない。
近年は漁獲量が減っているうえ、質の良いものだけを
仕入れている。
「今の品質を維持するためのぎりぎりの価格だ。」
死ぬと本来の旨味がなくなるため、
生きた状態で管理しなければならない。
だがあまり日持ちもせず、日によっては
20~30匹が使い切れずに死んでしまうことがある
創業時から地元の会社経営者らが常連客となり繁盛して
板が、バブル崩壊後に客足が一時遠のいた。
転機になったのは約10年前から始めた手書きのハガキだ。
お礼や季節ごとのご挨拶のため、従業員で手分けして1ヵ月に
約1200枚を書いて送る。地道な活動でリピーターが
徐々に増え、口コミを聞いた客が京都や神戸など関西
各地から来るようになった。
関空を利用する訪日客の急増を受け英語メニューや
中国語のメニューとホームページを作り、蟹と合うワインを選んで
メニューに加えた。台湾や香港を中心に個人旅行客が多く
訪れるという。
濱田さんは「これからもワタリガニにこだわり、
よそがまねのできないことを一生懸命続けていく。
お客さんに値段以上の満足感を味わってほしい」と
話している。
産経新聞より引用しました。