月別アーカイブ: 2025年9月

泉佐野市 「大人のランチ」 始めます。

大人のランチ60 ― 誰かの笑顔のために

泉佐野は、古くから海と陸の恵みに支えられてきた土地です。大阪湾のわたりがにや鱧、近くの畑で採れる水茄子や玉ねぎ。ここには、派手さはなくとも、暮らしに根ざした「ほんまもんの食材」が息づいています。

私の父母がこの地で店を始めたのは1964年。戦後の混乱も落ち着き、人々が少しずつ豊かさを求めるようになった時代でした。父は漁師や市場の方と真摯に向き合い、母は家庭の味を大切にしながら工夫を凝らし、松屋の味を築きました。以来60年余り、この町の人々と共に歩んできたのが、割烹松屋の歴史です。

その流れを引き継ぎ、今こうして「大人のランチ60」を始めることにしました。
60歳という節目は、ただ年齢を重ねただけではありません。子育ても一段落し、仕事も折り返しを迎え、ふと「あとどれくらい元気で食べられるのだろう」と考える世代。だからこそ、誤魔化しのない、地元の食材で作った料理で、心と体を元気にしていただきたいのです。

地元の野菜や泉州の魚、私たちが信頼する漁師や農家から届く食材を、丁寧に料理してお出しします。
30人の方に試食をしていただき、温かい励ましの声をいただいたことが、この企画の背中を押してくれました。しばらくは一日10人限定。お子様はご遠慮いただきますが、おひとり様は大歓迎です。病気がちで外出をためらう方も、少しだけ勇気を出して来てみてください。ここで食べる一皿が、笑顔や元気のきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

そして、地元に帰って来られた方も、どうぞ気軽に立ち寄ってください。
ここは、ただ食べる場所ではなく、人と人とが絆を結び、温かく関わり合える場にしたいのです。

私は料理人として、そして泉佐野の料理店として、あと10年は全力で頑張りたい。お客様からいただく「おいしかった」の一言が、私にとって最大のモチベーションです。

「大人のランチ60」は、世代を超えて大切なものを受け継ぎながら、これからを生きる力を分かち合う食卓です。
ほんまもんの食材で、笑顔と元気を。
そして、最後に残るのは、人と人の絆。

どうぞ、この輪に加わってください。

大人のランチ  6,600円税込み

12時に開始いたします。
14時までとなっていますので
お遅れのないようにしてください。
要予約

岸和田だんじり祭りとワタリガニの関係

 

泉州の秋は、だんじり祭りの太鼓の響きとともに始まります。
岸和田を皮切りに泉佐野や周辺の町が熱気に包まれるこの時期
実は「カニ祭り」とも呼ばれてきたことをご存知でしょうか
理由は、だんじりの季節とワタリガニの旬がぴたりと重なるからです。

昔から泉州の家庭では、
祭りのあとの食卓に赤々と茹で
上がったワタリガニが並びました。
雄ガニは身がぎっしり詰まり、甘みも濃く、
まさに秋のハレの日にふさわしいごちそう。

祭りで汗を流した男衆も、支えた家族も、
カニを囲みながら一緒に盃を交わし、
その年の出来事を語り合ったのです。

この習わしは単なる味覚の記憶ではありません。
だんじりとワタリガニは「地域の絆」を象徴するもの。

鐘と太鼓の音を聞けば「もうカニの季節やな」と感じる

それは泉州人のDNAに刻まれた暮らしのリズムです。

割烹松屋でも、この季節にしか味わえない雄ガニを
丁寧に仕立て、旬の献立としてお届けしています。

だんじりの熱気と共に味わうワタリガニは、
きっと皆さまの心と記憶に残るはずです。