割烹松屋の想いとこれから


いつも大変お世話になっております。
来週は台風が近づくようですので
皆様お気を付けください。
9月には岸和田のだんじり祭りが
行われますが、別名かに祭りともいわれ
わたりがにをお祭りのご馳走として
振舞われるそうです。
勇敢なだんじり祭りは泉州の秋の
訪れと泉州のだんじり祭りの
幕開けとなります。
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割烹松屋の想いとこれから

ご来店いただき、
誠にありがとうございました。
お楽しみいただけましたでしょうか?

おかげさまで、
私たち割烹松屋は今年で60周年を
迎えることができました。
これもひとえに皆様のおかげであり、
日々心から感謝しております。

現在、わたりがに料理の専門店は
割烹松屋だけです。
美味しい蟹は全国各地に生息していますが、
上質な蟹は数か所程度しか
見つけることができません。
わたりがには非常にデリケートで扱いが難しく、
大学の専門家からも
「水槽で生かし、提供するのは無理だ。
日常の苦労は想像を絶する」
とまで言われました。

私たちは毎日1日5回、
水槽の蟹が生きているかをチェックし、
塩分濃度や水温、透明度の管理、
水槽の掃除を欠かさず行っています。
特に雨の日や台風、
海が荒れている時は蟹の入荷が途絶えるため、
入荷がある時にはできるだけ多く
仕入れるようにしています。
しかし、近年は450グラム前後の
上質な蟹がほとんど取れなくなり、
希少な存在となってしまいました。

私は全身全霊をかけて
わたりがにの管理と提供に
取り組んでいます。休む暇もなく、
一年中わたりがにのことばかり
考えています。
それは、皆様に最高のわたりがにを
楽しんでいただきたいからです。

他にも、力を入れている
幻のクエや4年ふぐ、
大ぶりの鱧など、
上質な魚を独自のルートで
仕入れることができるようになりましたが、
わたりがにだけは全く安心できません。
昨年の初夏には全国の産地に
連絡しても入荷が全くなく、
ご予約いただいたお客様を
7日間もお断りする事態に至りました。
60年間の経験の中で初めてのことであり、
本当に情けなく辛い思いをしました。

妻と話し合い、
こんなにつらい仕事をやめようかと
まで思い詰めました。
しかし、お客様や漁師さんたちの
支えがありました。
特に、お断りしたお客様が
再度ご来店くださり、
心配して励ましてくださったことが
心に深く響きました。
また、千葉の九十九里浜の漁師さんが
息子さんと一緒に、
SNSを見てわざわざ泉佐野まで
立派な活きた蟹を
届けてくださったことも、
私たち夫婦の心の支えとなりました。
皆様に支えられ、
繋がっていることを実感し、
再び頑張る決意を固めました。
お客様にはわたりがにを楽しんで
いただくだけでなく、
そのご縁が素晴らしい思い出となり、
心に刻んでいただけることが、
私たちの何よりの喜びです。
これからも、真摯に料理に向き合い、
お客様との繋がりを大切にしてまいります。
どうぞ、引き続きよろしくお願い申し上げます。

割烹松屋 店主